http://www.servicemall.jp/sokudoku/BN/l/0041001.html
についての感想の3回目です。
(あらすじ)
東京帝国大学に入学が決まった三四郎は郷里の九州から汽車に乗って東京に向かう。途中、京都から乗ってきた女性と相席になる。三四郎が居眠りしている間に女性は同席している老人と仲良くなり、会話をしていた。
やがて老人は下車し、日が暮れたせいか、車内は急に淋しくなった。
(今回の感想)
相席の女性と話していたおじいさんは次の駅で降りていきます。
「じいさんに続いて降りた者が四人ほどあったが、入れ代って、乗ったのはたった一人(ひとり)しかない。もとから込み合った客車でもなかったのが、急に寂しくなった。日の暮れたせいかもしれない。」
“もとから込み合った客車でもなかったのが”と書かれています。
だから人は散らばって座れるはずなのに、なぜか三四郎の周りにはお騒がせ人妻やじいさんやらが集まっていたようです。
三四郎君はどうやら望んでいるわけでも主体的でもないのに人を集めて事件に受動的に巻き込まれるタイプのようです。(こんなタイプの人、たまにいますね。)
「もとから込み合った客車でもなかったのが、急に寂しくなった。日の暮れたせいかもしれない。」
乗客が少なくなり、日が暮れ、急に寂しくなったことに気付く。
この情景、分かる気がします。
私が子どもの頃住んでいた町にも電車は走っていて、30分ほどかけて隣の少し開けた市との間を往復していました。
私の住んでいた町には本屋がありませんでした。それで時々、母親に連れられて電車に乗って隣の市に連れて行ってもらうことが楽しみでした。そこには小さな本屋さんが数軒あり、そこで本を買ってもらうのです。
時にはさらにバスや国鉄で足を伸ばして、さらに隣の県庁所在地のある市に連れて行ってもらうこともありました。ここにはもっと大きな本屋があったのです。
ネット書店がなかった時代、本は本屋に足を運んで買うものだった頃のお話。
ともかく私にとってあの電車を思い出すと、住んでいる町を出て本屋のある市に連れて行ってもらったという思い出もリンクしてきます。
そしてめでたく本を買ってもらって電車に乗って、また家のある最寄り駅まで帰ってくるわけです。
帰りの電車旅の始発駅を出る頃はそこそこ乗客も大勢いて賑やかなのですが、駅に着くごとに人が降りていき、少しづつ静まってきます。
そして、私が下りる駅がいよいよ近くなると、車内が急に閑散となったことに気付くのです。これは、乗客の人数が少なくなったせいでもあるし、また、電車の走っている場所が、田んぼや畑など、より一層静かな所に来たというせいでもあります。また、時間が経過して夜が一層ふけてきた、ということも影響しているでしょう。カエルや虫の鳴き声なども侘しく聞こえていました。
ともかく、電車に乗って家に帰る時、私はいつもこの静けさを感じたものです。
この電車も、赤字ということで廃線となり、いまはもうありません。
何だか懐かしいですね。今回、『三四郎』にちょっと書かれた汽車に関する記述から、私の子ども時代の電車旅を思い出してしまいました。
あの電車を始め、あの頃から多くの鉄道路線が廃線となってきたことでしょう。思い出は永遠に。
それにしても、人々の交通手段である鉄道がどんどん寂れ、廃線になっていくというのは、人類の進歩なのでしょうか、それとも退化なのでしょうか?
そして現在私は堺市に住んでいます。大阪唯一の路面電車である阪堺線が大阪市と堺市の間を走っています。
天王寺や恵美須町から出発して堺市の方に帰って行くと、はじめは大勢乗っていて立っている人までいたのに、大和川を越えて堺市の方に入って行くにつれ、どんどん乗客が減っていきます。
もちろん、田んぼや畑の中を走るわけでもなく、市街地の中を走っているのですが、人が少なくなって周囲の光景が寂しくなっていく車内に座っていると、幼い頃に存在していたあのローカル線に乗っていた頃を思い出したりするわけです。(続く)
f(^_^)♪
私はかくの如く読みました。
皆様はどう思われますか。
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