http://www.servicemall.jp/sokudoku/BN/s/0190006.html
? ∞ !
やがて女は戻って来ます。しかし、なかなか席に戻りません。
「もしやと思って、ひょいと目を上げて見るとやっぱり正面に立っていた。」
怖い、怖い。
あまりいい状態ではないと思うのですが、どうでしょうか?
女を前にして一人で弁当を食うマナーの悪い若者をあきれて見ているように思うのですが。
三四郎も女が気になるんだったら、気軽に話しかけて仲良くなるという選択もあると思うのですが、気軽にそれができないというのが苦しいところです。
「しかし三四郎が目を上げると同時に女は動きだした。
ただ三四郎の横を通って、自分の座へ帰るべきところを、すぐと前へ来て、からだを横へ向けて、窓から首を出して、静かに外をながめだした。」
やはり列車の座席の構造がよく分かりません。
4人がけボックス席説が一番有力なのですが。
三四郎が窓側に座り、女は対角線上の通路側の席ということなのでしょうか。
本来なら対角線上に座るのが一番ゆったりするのですが、三四郎のすぐ前の窓際の席に座って窓から首を出した、というので良いでしょうか。
窓から首を出したのは、どういう心理なのでしょうか。
武田信明 『三四郎の乗った汽車』では、
「三四郎は、漱石によって風景を見ることを禁じられているのだ。」
という指摘があります。
女は窓から首を出す
http://sanshirou.seesaa.net/article/100242844.html
それに対して、窓から首を出して窓の外を眺める女。非常に対照的です。
これは精神的・形而上的な指摘であります。
もっと現実的・形而下的な指摘としては、腹が減っているところに相席の者が一人で弁当を食べ出すと、匂いが気になって窓から首を出したくなった、ということも考えられます。
また、食欲がないとか、乗り物に酔った状態の時にも匂いは気になるものです。
よく食欲不振になったり乗り物酔いする私にはこちらの方が切実です。
それにしても、他の席に空きがあるのなら、そちらに移ってもいいはずです。
そこをあえてわざわざ戻ってきて、三四郎により近い位置に座ったというのは、まだ三四郎に望みがある、ということなのか、試練から開放されないというべきか。
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