2008年04月06日

女が出て行った「車室」とは?

今回は、『三四郎』その1
http://www.servicemall.jp/sokudoku/BN/l/0041001.html
 についての感想の5回目です。
   
(あらすじ)
 東京帝国大学に入学が決まった三四郎は郷里の九州から汽車に乗って東京に向かう。途中、京都から乗ってきた女性や田舎者のお爺さんと相席になる。
 やがてお爺さんは下車し、女性と二人きりになるが話がかみ合わず、ぎくしゃくした時間を過ごす。
 三四郎は一人で駅弁を食べ始めるが……。

  
(今回の感想)◎女が出て行った「車室」とは?
 
 ええと、前回は三四郎が女の人の前で一人で駅弁を食べ始めたことについて書きました。
 前回書き忘れたので少し戻りますが、駅に着いて相席のじいさんが降りてから、面白い描写があります。
 
  
「駅夫が屋根をどしどし踏んで、上から灯(ひ)のついたランプをさしこんでゆく。」
 
 この頃の汽車は、車内照明は屋根の上からランプをぶら下げていたのでしょうか。
 電車のように上に電線がないので、確かに屋根の上を歩けるわけだ。屋根の上からランプをぶら下げるのは確かに合理的であるが、雨の時はどうだったんだろうか。雨が漏れてくることはなかったのだろうか。雪だと滑って危なくはないだろうか。
 本当に、この頃の汽車の構造については、今の構造から大きく違うようで、記述から想像するのが難しい。

 当時の汽車の構造について書いた文献はないものかと思っていたら、それらしきタイトルの本を見つけました。
 
『三四郎の乗った汽車』 武田信明・著  教育出版
 
 読んでみたのですが、汽車の構造について書いた本ではなく、文明開化の時代に日本が西洋文明を受け入れていった過程について紹介・考察した本でした。
 しかし『三四郎』についての興味深い指摘もされていて、読み応えありました。
 この本についてはブログで書きましたので、興味を持たれた方は訪れてみて下さい。
 
『三四郎の乗った汽車』
  http://sanshirou.seesaa.net/article/90598052.html
常に何かから遅れている。あるいは、もはや手遅れになってしまって
  http://sanshirou.seesaa.net/article/91263276.html
 

 さて、三四郎は駅弁を食っています。
 
「車が動きだして二分もたったろうと思うころ、例の女はすうと立って三四郎の横を通り越して車室の外へ出て行った。」
 
 おおっと、「車室」という記述があります。
 私は今まで、三四郎達は対面式クロスシート(4人がけ)で向き合って座っているものと思っていました。
 しかし「車室」さらに「の外」と書かれているということは、部屋になっているコンパートメント席なのでしょうか。「の外」というからには、部屋とその外の廊下(通路)があることを感じさせます。
 
鉄道車両の座席 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84%E9%81%93%E8%BB%8A%E4%B8%A1%E3%81%AE%E5%BA%A7%E5%B8%AD
  
 三四郎と女の位置関係をもう少し検証してみます。
 
「三四郎の横を通り越して」
 
と書かれているところから、女は窓際、三四郎は通路側に位置していたものと思われます。
 車室の外に行く女を「便所に行ったんだな」と思いながら弁当を食べ続ける三四郎。
 
 私が子どもの頃住んでいた町を走っていたローカル線にはトイレなんかありませんでした。
 国鉄に乗った時驚いたのは、電車の中にトイレがあったことと、連結した列車の間を移動できるようになっていたことでした。

 それにしても最近、“便所”という言葉を使わなくなったし、言わなくなったものです。私が子どもの頃は田舎だったのでかろうじてまだ使われていたのですが。
「便所」という言葉は既に「死語」「古語」の域に達したのでしょうか。
 
列車便所 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%97%E8%BB%8A%E4%BE%BF%E6%89%80
■[日々の哲学]吊り手水と昭和30年代
  http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20070422/p1
 
……とここまで書いてきてふと思ったのですが、例の女が出て行った「車室」とは、個室ではなく、一両目、二両目……と数える連結された車両全体のことではないでしょうか。
 本当のところはどうなんでしょうか。
 

f(^_^)♪
 私はかくの如く読みました。
 皆様はどう思われますか。
 コメント・トラックバックお待ちしております。
  
※メルマガ登録お願いします。 m(_ _)m
  http://www.alphapolis.co.jp/maga.php?maga_id=1000410
  http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/13788.html 
  http://www.mag2.com/m/0000254139.html
   
【Website】
文理アカデミア 総合科学部 http://www.diletantoj.net
【ウェブログ】
総合科学部 よろづ取扱い科 http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/
【メルマガ】
少年少女世界の名作文学ブログ・速読み版 http://nazede.gozaru.jp/mmm.html 
【電脳店舗】
電脳よろづ商店 ありゃま http://www.emzshop.com/nazegaku/
ありゃま商会 の回覧板 http://yorodzu.seesaa.net/
posted by うらなり三四郎 at 19:54| Comment(2) | TrackBack(1) | 2008年 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『「三四郎」の世界:漱石を読む』の作者のキムラ•ステイーブンです。 こういうページがあったことなど、全くしりませんでした。ですから自分の本の評価についても、知りませんでした。
 
 私の本が面白いと思ってくださる方の存在を知って感激です。その後『こころ』論や、『行人』論を国文学解釈と鑑賞の2006年6月号と12月号にのせています。

 今『源氏物語』論を書き終えたところです。早稲田大学に研究にきています。

 とにかくこのサイトをみつけて、うれしい限りです。教えて貰ったので。

 千種キムラ•ステイーブン
Posted by 千種 キムラ•ステイーブン at 2008年07月07日 16:58
 著者のキムラ様からコメント頂きまして光栄です。
 この本は県立図書館で借りて読んだのですが、あまりの衝撃に、自分で所有しておきたいと思って購入したほどです。
 私は文学に関しては素人なので大したことは書けません。
 このブログも大したことは書けないのですが、少しづつ『三四郎』を再読していこうと思っています。
『「三四郎」の世界:漱石を読む』も再読するつもりです。
 コメントありがとうございました。
Posted by 三四郎 at 2008年07月24日 07:00
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/92459753
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

改めて、列車の座席について
Excerpt:  ブログを再開するに当たり、始めから読み返しました。  かなり丁寧に書いていますね。当時、鬱々とした感情があり、何とかこのブログで成りあがって打開したい、という野心を持って非常に丁寧に、丁寧に書いてい..
Weblog: 『三四郎』な人生論
Tracked: 2013-03-10 16:47