2008年01月04日

女はなぜ相席したのか?『三四郎』な人生論 第2号

今回は、『三四郎』その1
http://www.servicemall.jp/sokudoku/BN/l/0041001.html
についての感想の2回目です。
(あらすじ)
 東京帝国大学に入学が決まった三四郎は郷里の九州から汽車に乗って東京に向かう。途中、京都から乗ってきた女性と相席になる。三四郎が居眠りしている間に女性はやはり同席していた老人と仲良くなり、会話していた。

    
(今回の感想)
  
 さて、京都から乗り合わせてきた女性とは、一体どのような人物なのでしょうか。
 乗った時から三四郎の眼についた、という記述があります。しかしそれは若くて綺麗だから、という意味ではなく、色が黒いからと書かれています。漱石はそれを“九州色”と表現しています。
 汽車が九州から離れて京大阪に近づくにつれ、女の色が白くなっていくので三四郎は
「故郷を遠のくような哀れを感じていた」
と書かれています。
 果たして九州の女の人は色が黒いのか、京大阪に近づくと本当に白い人が多くなっていくのでしょうか。これは漱石のユーモアを含んだ表現かもしれません。
 
「三輪田のお光さんと同じ色である。国を立つまぎわまでは、お光さんは、うるさい女であった。そばを離れるのが大いにありがたかった。けれども、こうしてみると、お光さんのようなのもけっして悪くはない。」
 
 また新しい女性が登場しました。この“お光さん”とは、一体何者でしょうか。
 私の受けた印象としては、三四郎の幼馴染で、年は同じか少し年上程度で、比較的三四郎との交流も多くて遠慮の要らない間柄という感じです。いわば年上女房といった役割で、三四郎に色々とかいがいしく尽くしてくれたのではないでしょうか。
 三四郎は東京帝大に合格するくらいのエリートですから、郷里では“末は博士か大臣か”と言われるような出世頭のような存在でしょう。そんな三四郎ちゃんの世話を焼くことができて嬉しいわ、と姉さん本能が発達した人かもしれません。
 だからこの時点では三四郎にとって“お光さん”は恋愛対象ではありません。
 そのような関係の幼馴染は、一度離れてから再会した時に、初めて異性として意識するのではないでしょうか。
  
「ただ顔だちからいうと、この女のほうがよほど上等である。口に締まりがある。目がはっきりしている。額がお光さんのようにだだっ広くない。なんとなくいい心持ちにできあがっている。それで三四郎は五分に一度ぐらいは目を上げて女の方を見ていた。」
 
 この女性は“お光さん”より美しいようです。故郷の九州から出て三四郎が初めてときめいた女性、というところでしょうか。
 
 それで、やはり相席のおじいさんと話していることを聞くと、この女性は既に結婚していて子どももいます。大連へ出稼ぎに行った夫が音信不通になり、安否が判明するまで実家に戻るつもりだそうです。
 とすれば里に帰るための旅の道中か?子どもは既に里にいるという。この辺りの事情は複雑で分からない。
 
 しかし三四郎が故郷を出て初めて心ときめかせた女性が子持ちの人妻だったとは。
 確かに、都会の女性はお洒落に気を使っているから若く見えたのかもしれません。
 しかしこの女性、後で明らかになるように、かなりやり手のようで、田舎から出てきたばかりの純朴な青年・三四郎を軽く見て手玉に取っているような感もあります。
 そもそも、若い男性が座っている席にわざわざ同席しに来るところからして、只者ではありません。他にも空いている席はあったろうに、なぜわざわざ三四郎がいる席にやって来たのでしょうか。このことについて色々と想像してみるのも面白いことです。
 
 逆に、このような女性がわざわざやって来るようなオーラを放っているような三四郎について色々考えるのも面白いことです。
 
 以下の出来事は、プラスの力とマイナスの力が引き合うように、なるべくして起こった出来事なのでしょうか。
 
 また一方、三四郎が全く何の存在感もない存在であって、この人妻にとってはあたかも一個の石のようにまるで眼中に入らず、自然に座ったという解釈も考えられます。
 初めは全く論外の存在であったが、自分に興味を持っているようなので持ち前のいたずら心が芽生えてしまった、という解釈です。
  
 どちらにしろ、三四郎にとってはなかなか苦しい展開で、前途多難を予感させます。(続く)
 
(*^-^*)♪
 私はかくの如く読みました。
 皆様はどう思われますか。
 コメント・トラックバックお待ちしております。
  
   
【Website】
文理アカデミア 総合科学部 http://www.diletantoj.net
【ウェブログ】
総合科学部 よろづ取扱い科 http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/
【電脳店舗】
電脳よろづ商店 ありゃま http://www.emzshop.com/nazegaku/
ありゃま商会 の回覧板 http://yorodzu.seesaa.net/
 
“今年はあと何日?” 今日は残りの人生の最初の日
 失われたものを数えるな。残っているものを最大限生かせ。
posted by うらなり三四郎 at 23:13| Comment(0) | TrackBack(1) | 2008年 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

改めて、列車の座席について
Excerpt:  ブログを再開するに当たり、始めから読み返しました。  かなり丁寧に書いていますね。当時、鬱々とした感情があり、何とかこのブログで成りあがって打開したい、という野心を持って非常に丁寧に、丁寧に書いてい..
Weblog: 『三四郎』な人生論
Tracked: 2013-03-10 16:47